2013/5/3

「俺、体育会系だし、女の子なんて、無理だよ」
「泣かしちゃいそうだうし」

「直紀は泣かすだろー」
「断われないなら、今まで泣かして来た女子達への罪滅ぼしと思って優しくしてやれよ」

悪友に愚痴ってもこれだ。面白がられるだけ。

「バーカ」

もう、どうにでもなれだ。
母親って、どうして、ああおせっかいで、感情的生き物で、
理論的に話そうとするとキレるんだ?

「そんな、いいじゃない」って笑いながらとどめの一言。
「私がお願いした事なんて、聞いてくれないのね」

って、なんでそーなんだ?

「わかった。わかった」

って
面倒になって、適当に母親が逆上しないうちにおさめようとしてこの様だ。
ダンスにはまって、それを仕事にして、振付師としての仕事をもらえるようになったものの、
正直今の俺にアシスタントなんていらない。

厳しくしてさっさと辞めさせるかな。

「よろしくお願いします!」

やって来た彩花の第一印象は人懐こいタイプで物怖じしなさそうだ。
まあ、そうじゃなかったら、田舎からでて来て、
居候先に俺みたいな人間の所選ばないだろうな。

すぐに帰っちゃうだろうと思ってた俺の予想に反して、
彩花は真面目に仕事する。
俺の仕事中は集中して、スタジオの片隅に邪魔にならないようにしてる割には、
休憩となると、
皆の和に入って楽しそうにしてる。
雰囲気も良くなるし、周りの評判も悪くないので、正直ほっとした。

時折見せる人をシャットアウトする瞬間は、でもなんなんだ?
来たときカバン一つだったし、今時携帯持ってなかったり、不思議だ。

まあ、俺はおせっかいじゃないから、そんなのは、無視。

まずまずのスタート切った数週間後のある日あいつは起きて来なかった。
そういえば、昨日皆と飲みに行くと言って帰ってきてないんじゃないか?

心配して、心当たり数件電話して見つけた。
「連絡してあるって言うから」
電話口で美穂はそう言ったが怪しい。
あいつが絡んでるって事は、何かある。

それから、二時間後にようやく帰って来て、いま目の前に正座させてるが、
一向に、正直に口を割ろうとしない。

「だんまり続けるなら、そこでずっと正座してる事になるぞ」

そう言っても、下を向いたまま口を開こうとしない。

「よし、分かった」
「理由もなく、無断外泊して俺を心配させた罰だ。
悪い子がどうなるかお尻引っ叩いて教えてやる」

「えっ?」
「なに?」

有無を言わさず膝に乗せて、お尻を叩く。

「やっ」
「ちょっ、ちょっと、な、直紀さん」

「やだ」
「やだ。やだ」「やめて」
「下ろして」


「下ろしてくださいだろ」

「下ろしてくださいーー」
「お尻叩、痛い!」
「やあ。やだ」

「痛いってば。痛い。痛い」

「俺に反抗しようとするなんて、いい度胸だが、そんな事許すわけないからな」
どさっと膝から下ろす。

「正座!」

怖い声。いきなりお尻叩かれてショック。
それでも、怒ってるのわかるから、言われた通りにする。

痛い。お尻痛い。ジンジンしてる。

「で?」

水を向けてもやはり、だんまりを決め込む。

「膝にまた、乗るか?」

首をぶんぶんと横に振る。
「何で遅くなった?」
また、首を横に振る。
「言えない?」
今度は縦に首が振られる。

「こんなこと許されないだろ?」
「怒ってるんだぞ」
縦にコクコクとうなづく。

「わかった」

「何にも言う気が無いなら、どうなるか教えておく」
「膝においで」

淡々と宣言して
手首を掴んで有無を言わさず膝に乗せる。
「あ。嘘。やだ。もうやだ」
逃げられないように腰に回して、腕でがっちり抑え込む。

スカート捲る

パンツも下ろす

「きゃー。なに?」
「やだ」
「やだやだやだ」
「いや」

「スカート、スカート」

「子供には、子供のお仕置き」
「や」
「やあー」

「痛い。痛い」
「直紀さん痛い」

「ダンサーの力舐めんなよ」

「なめてないですー。尊敬してますー!」

トンチンカンな叫びに笑いそうになるが、
そこは平然と、どんどん回数を重ねて行く。

「ごめんなさい」
「スカート」
「やだ。お願い。スカート戻して」
「お願いします」

すぐに許すつもりは無い。
目上の発言は絶対だと分からせておく為にも。
口を割るまで許すつもりない。

「聞いた事に答えないなら、膝から下ろすつもりはない」

「痛い」
「痛いです」

彩花も強情だ。

「あっ!」
「いっ、痛い!!」

強く、お尻の下の方を集中打。
「明日田舎に帰れ。信頼関係無いやつは、おいて置けないから」


「言います!」

「言うから」

全く…やっと理由を聞いてみれば・・・。呆れてものも言えない。

「分かった」
「俺を試すような事二度としないようにお仕置きだな」

「ひー」
「痛い。痛いです」
「ごめんなさい。ごめんなさい」

足を組み、十分に温まってるお尻を思いっきり叩き始める。
一定の速度で、同じ所に痛みを重ねる。
もじもじ動く彩花は逃げられないとわかっていても、
そして、
自ら罰を受けるといったものの、この痛さに体が反応してしまう。

昨日、数人で飲みに行った時
「怖いでしょー、直紀さん?」
「よく続いてるよね。皆感心してるんだよ」

「尊敬してますから」

「ヒュー」
と言われて、思わず

「私の事は、一ミリも感心無くって、居なくてもわからない位の存在ですから」

と、日頃なんとなく思ってたことが思わず口から出ちゃったら美穂さんが、
「直紀は人情派だし、面倒見も良いんだけど、不器用なんだよね」
「今まで、何人も直紀に泣かされてきたか!」

「また、女の子を泣かすなんて許せない!」
「モテる割には、全然女心が分からない最悪な性格なんだよね」

「心配させてやればいいの!」
「彩花ちゃんのチャーミングさに気がつかない馬鹿を反省させちゃおう!」

と周りが勝手に盛り上がり、
二次会、三次会となるに連れ私もどーでもよくなり、
帰ると頑張ってたのに、いつの間にか美穂さんのお家のお布団で寝てしまってた。

起こされて、ボーとしてたら、
「王子が見つけてくれたから、帰りなさい」と言われ、

「ただし、ちょっと薬強かったみたいで怒ってるかも。ゴメン!!」
といささか不安を覚える言葉と共に帰宅してみたら、

ちょっとじゃなくて、
かなり怒ってて、

でも、気にかけくれてるかどうか試したなんて言える訳なくて黙ってたら、お尻叩かれた。
パチンパチンって。

大好きで
尊敬してる人から信頼関係壊したと言われて、胸が痛んだ。

自分にどうしても自信が持てなくって、ほんのちょっとの期待。見捨てないでという祈りからだった。

あんなに情熱的な感情表現をするダンサー
誰よりもステージのスポットライトがふさわしい人が
振り付け師の仕事を始めたと聞いて、
あらゆる縁をさがし、ツテをたどって掴んだ出会いだったのに、
『田舎に帰れ』と言われて、

悲しかった。

痛かったのもあるけれど
ここに置いて欲しくって、必死でごめんなさいした。
心から反省。

「ごめんなさい」
「もう、絶対にこんな事しないのでここに置いてください」

何度も

何度も

痛さで、言葉途切れながらお願いした。


「選択肢は二つ」

「続ける?」
「やります!」

「絶対服従の横暴でも?」
「やります!」
おいおい。大丈夫か?こんな事に即答して・・・。若いってこえー
「田舎帰る?」
「やだ!帰らない!!」

「やるの?」
「やります!」

「俺のお仕置き痛いよ」

「し、知ってます」

「わかった」

「座って」

手のひらでほっぺた挟まれて、
ぐいっと目を覗き込まれた。

「悪さしたら、きっちりお尻にお仕置きする。お仕置きならちゃんと効くみたいだからな」

恥ずかしくって、下向きたかったのに、逃げられない。

「返事は?」
ドSだ。この人
顔うごかせないー。目覗きこむなんて・・・


「はい」

今、私絶対顔真っ赤だ。

憧れの人の顔が数センチの所にある!
全然ロマンチックじゃ無いけど、キュンとなった。

「ところで今、いくつだっけ?」